公開日 2026年1月31日 最終更新日 2026年2月2日

「Monster of P-POP」グループとして存在感を放つ5人組、VXON。彼らがリリースしたセカンドアルバム「Pasakalye」は、グループが試行錯誤の時期を脱し、ついに自分たちだけの表現スタイルを確立したことを告げる記念碑的な一作となった。
前作の「失恋・怒り」という攻撃的なテーマから一歩進み、より「誠実で、ありのままの自分たち」を表現。街中の日常に溶け込み、より多くのフィリピン人の心に届くことを目指した成熟した全8曲で構成されており、アルバムタイトルの「Pasakalye」には、タガログ語の「序奏」という意味に加え、「Para sa Kalye(ストリートのために)」という意味も込めた。
アルバム全体を貫いているのは、驚くほどの一貫性と洗練されたプロダクションだ。VXONの最大の武器である「鋭く情熱的なラップ」と「スムーズで中毒性の高いボーカル」が絶妙なバランスで共存しており、リスナーを圧倒しすぎることなく、心地よいグルーヴに浸らせてくれます。特に、音の空間を贅沢に使うことでサビを際立たせる手法は、彼らの音楽的成熟を感じさせる。
アルバムの核となる「pelikula」は、まさにタイトルの通り「映画」のような日常を切り取った楽曲だ。フィリピンのヒット映画『Kita Kita』の音声がサンプリングされており、ノスタルジックでチルなグルーヴが特徴的な深夜のドライブや静かな夜にぴったりのサウンドに仕上がっている。メンバー自らが振り付けを考案し、視覚的にも彼らの進化を証明している。
不正な社会や不誠実な人々への怒りを込めたハードなトラックで、デビュー曲「The Beast」に匹敵するパワーを持つ楽曲となっている。
メンバーのVinceが作曲に参加。中毒性の高いメロディが特徴で、VXONらしさを保ちつつも、新しいサウンドの扉を開いた意欲作。
誰もが経験しうる「愛の不確かさや失恋」という普遍的なテーマを扱っており、リスナーの共感を呼ぶ一曲となっている。
過去の恋を引きずる切なさを描いた楽曲。リアルで等身大な歌詞が共感を呼んでいる。
新曲がアルバムに新たなテクスチャーを加える一方で、これまでにリリースされファンの間で愛されてきた楽曲たちが、作品に深みを与えている。
例えば、夏にぴったりの「Sh*t Sobrang Init」は、男女の親密な時間を夏の猛暑になぞらえた情熱的なR&Bで、ヒップホップの要素を交えた艶やかなサウンドが耳に残る。一方、フィリピンの伝承を歌詞に盛り込んだ「Tabi Tabi」では、不誠実な人々への批判をポップロックの軽快なリズムに乗せて表現するという、彼ららしい知的なアプローチが見られる。
さらに、カフェ店員に扮したメンバーの姿が話題となった「Dapat Lang Ako Lang」では、これまでのクールなイメージとは一線を画す明るくキャッチーな一面を見せ、表現の幅が大きく広がったことを証明した。
「僕たちの物語はまだ始まったばかり」という「Pelikula」の歌詞は、今のVXONの勢いを象徴している。アルバムで示した自信とカリスマ性は、2月28日にSM North EDSA Skydomeで開催される初のソロコンサート「Kalawakan」で、より大きな熱狂となって爆発することだろう。
「Pasakalye」は単なる曲の集まりではなく、VXONというグループの「今」を凝縮した、一つの完成された物語となっている。より広い世界へと羽ばたく彼らの音楽に、今こそ耳を傾けるべき時が来ている。