公開日 2026年6月11日 最終更新日 2026年6月11日

フィリピンで活躍するボーイズグループVXONのメンバーであり、プロデューサーも務めるFranz Chuaが、「Think Talk Tea」に出演し、華やかなステージの裏側にあるデビュー直前の悲劇や海外公演での詐欺事件、AI音楽への見解など、ファンならずとも驚く業界のリアルな裏側を赤裸々に明かした。
今でこそP-POP界を牽引する存在の一人であるFranzも、デビューまでの道のりは決して平坦なものではなかった。過去には「The Voice Kids」や「Pinoy Big Brother」といった有名番組のオーディションに挑戦したものの、落選という挫折を味わっている。しかしその後、コロナ禍にTikTokへ投稿した動画が現在の事務所の目に留まり、運命的なスカウトを受けた。
無事にグループが結成された後も、感染対策のために2年間にわたる厳しい共同生活。そしてさらなる悲劇は、2022年1月7日のデビュー前日に起きた。なんとメンバー全員が新型コロナウイルスに感染。予定されていた盛大なショーケースはすべて白紙となり、メンバーは隔離しながら自分たちのMV公開をただ見守るしかないという、非常に悔しいスタートを明かした。
今回のインタビューで最も視聴者を驚かせたのが、VXONにとって初となるドバイでの単独公演で起きたトラブル。
現地でのコンサート前日、プロデューサーから突然「会場からキャンセルされた」と告げられ、コンサートはキャンセルに。実際にはプロデューサーの未払いが原因と見られ、メンバーへのギャラの支払いも一切なかったという。
異国の地で途方に暮れ、泣き崩れそうになるメンバーを救ったのは現地のファンだった。スタッフとファンが急遽フィリピン人が経営するカラオケバーを貸り、至近距離での親密なライブを実施。「トラウマでありながらも心に残るエピソード」だと振り返った。
FranzはVXONのメンバーとしてパフォーマンスするだけでなく、楽曲を手掛ける中核的な存在でもある。外部からの楽曲提供では「自分たちの魂がこもっていない」と感じた彼は、自ら制作を主導し、R&Bやヒップホップを取り入れたVXON独自のシグネチャーサウンドを確立。
彼の楽曲制作は、歌詞よりも先にメロディとサビを作るスタイルが特徴で、ヒットフレーズのインスピレーションは日常のリアルな感情から生まれている。「shit sobrang init」はエアコンが壊れた時の「めっちゃ暑い」という実体験を、そのまま楽曲のフックに活かしたことを明かした。
こうした彼の才能は業界内でも高く評価されており、フィリピン音楽界のトップシンガーソングライターであるYeng Constantinoに自身のデモを聴かせた際、「フックを作るのが本当に上手。素晴らしいライターだ」と大絶賛を受けた。この言葉は、クリエイターとしての大きな自信に繋がったことを明かした。
音楽業界でも急速に進むAI技術について、技術の進歩は避けられないと前置きしつつも、「AIはあくまでアシスタント」であるべきだと主張した。プロンプト一つで簡単に曲が作れることで、ゼロから人生をかけて楽曲を生み出す人間のアーティストの努力が軽視されることに強い懸念を示し、「人間の作る本物の感情や本物らしさには絶対に敵わない」と力強く語った。
目標について聞かれると、「ヒット曲を出し、フィリピンアリーナをソールドアウトさせ、Coachellaに出演し、ワールドツアーをしながらLAのベランダでコーヒーを飲んでいたい」と、枠にとらわれない大きなビジョンを笑顔で明かした。