Patrick Brasca(派偉俊)、新アルバム「BAD IDEA」をリリース!

公開日 2026年8月2日 最終更新日 2026年8月2日

(c) Patrick Brasca / Facebook

台湾の音楽シーンを牽引する新世代のシンガーソングライター・Patrick Brasca(派偉俊)が、3年ぶりとなる待望の3rdアルバム「BAD IDEA」をリリースした

「インスピレーションに定義は不要、良い悪いを決める基準なんてない」と語る彼が、全曲のプロデュースを手掛けた本作には、全15曲が収録されている。

アルバム「BAD IDEA」のコンセプト

“Sometimes a bad idea is the best idea.”(悪いアイデアが最高のアイデアになることもある)

アルバムタイトル「BAD IDEA」には、Patrick Brascaのクリエイターとしての心境の変化が込められている。自身の音楽への注目度が高まるにつれ、周囲の雑音や完璧主義の罠に陥っていた彼が見つけた答えは、「直感を信じ、誠実に決断すること」だった。

一見すると「悪いアイデア(BAD IDEA)」に思えることも、時には思いがけない素晴らしい結果をもたらすことがある。正解を求めるのではなく、直感的なインスピレーションの断片を詰め込んだ本作は、ジャンルにとらわれないNew Popの魅力に溢れた。

また、8月7日にリリースされるフィジカル版は、マグネット開閉式のハードカバー仕様。鮮やかなブルーとブラックを基調にシルバーの箔押しが施され、ひび割れデザインのCDケースや、複数の紙材を組み合わせた歌詞カードなど、彼の世界観を視覚や触覚でも楽しめるこだわりのパッケージとなっている。

「BAD IDEA」全15曲を紹介

Track 01. BAD IDEA

悪いアイデアが即座に起動|インスピレーションのコースで音程を遊び尽くし、余裕の足取りで恐れず前進

「ポケットの中の妙案は多い、良いものもあれば悪いものもある、大抵悪いものの方が魅力的だ」

シンプルな「idea」の3度ハーモニーで幕を開け、外界の噂話とインスピレーションの爆発を対比。怪盗キッドやジェリー(トムとジェリー)などのポップカルチャーのシンボルを交え、遊び心満載で多彩なアイデアを溶け込ませた。Patrick Brasca自らプロデュースし、弾力あるベースと軽快なドラムに金属的なシンセを重ね、「歌の中の歌」のような豊かなレイヤーを構築。本作の基調となる「悪い決断が思いがけない結果をもたらすこともある」というテーマを提示し、外界の雑音をよそに恐れず前進する姿勢を示している。

Track 02. 煙硝

勝者のいない硝煙の戦い|虚妄の悪意を冷静に俯瞰し、煙塵の中で逆風に乗って飛ぶ

「誰が1万通りの方法で狼煙を上げたのか、俯瞰の視点でも見極められることには限りがある」

ネット上に氾濫する匿名の誹謗中傷や言葉の暴力を、戦火の後に残る煙塵に例えて描いた一曲。重厚なビートから後半は柔らかなコードへと変化するアレンジが特徴的だ。透明感のある俯瞰的な視点から舌戦の虚無感を説き、一時的な賞賛やヘイトに惑わされて本来の善意を失ってはいけないと自戒。「Bring smoke if you wanna play」と確固たる意志を宣言し、悪意の矢が飛び交うネット社会で、傷つけ合うだけの虚しい争いを問い直している。

Track 03. 單程票

戻れない片道切符の旅|後悔のループから抜け出し、執着した過去に別れを告げる

「僕は止まることのない愛の列車に乗った。終点に着いて初めて、君がいないことに気づいた」

「通過駅に止まらない片道列車」をモチーフに、後になって気づく感情の旅路を歌う失恋ソング。軽快なドラムと繊細な弦楽四重奏が交わり、曲はゆっくりと進行。最後のサビ前で大胆に転調し、深い余韻を演出。Patrick Brascaの気だるいボーカルが過去への後悔と車内外の距離感を表現し、終わった恋への執着を前の駅に置き去りにして、次へ進もうとする痛切な感情を描いている。

Track 04. 別戀

もう二度と恋はしないという心砕けるつぶやき|大雨の中で甘酸っぱい無邪気さを脱ぎ捨て、振り返って果てしない愛意を埋める

「君のいない街は、どこへ行っても放浪しているようだ」

「あなたの心変わり」と「もう恋はしないという決意」を描いた、C-POPのクラシックな系譜を受け継ぐバラード。土砂降りの雨の中での残酷なすれ違いを映像的に表現している。生のストリングスを活かして過度なアレンジを削ぎ落とし、余白を残すことで極めて強い感情の張力を生み出した。単なる苦しい恋ではなく、許しの中で諦めることを学ぶ大人の成長プロセスを描写。盲目的な執着や報われない愛への未練を断ち切り、苦痛だが正しい決断を下す姿をリアルに伝える。

Track 05. 舞池之外

ダンスフロア限定の大人のゲーム|ほろ酔いの感覚的なタイムリミットの駆け引き、曖昧な関係は今この瞬間だけ

「ダンスフロアの外では 僕たちはただの通りすがり。目が合うだけで、誰もがやりすぎだと感じる」

深夜のダンスフロアにおける「時間制限付きの曖昧な関係」を切り取ったセンシュアルな一曲。重低音のビートと気だるいグルーヴが、アルコールと香水が混ざり合う危うい魅力を引き立てる。「ダンスフロアの外では、君を知らない」という警告をサビで繰り返し、理性の防衛線を引きつつも、コントロールを失うギリギリのスリルを楽しむ大人の駆け引きを描き出した。

Track 06. 穿上你的愛

甘さ限界突破のストレートな告白|全世界をミュートにして、君のためだけに心の部屋を空けておく

「引き止める一言 優しい一行。互いに避け合う、そんなスロースターターな関係」

スローペースな恋人に贈るストレートなラブレター。ジャスミンの香りや雨の中の出会いなど、日常のロマンチックなディテールを紡ぎ、「相手の愛を身にまといたい」という強烈な独占欲を軽快なリズムに乗せてう。全世界の喧騒をミュートにして目の前の君だけを見つめ、「君が面倒だと思わないなら、最後まで行くよ」と覇気ある宣言へと導く極甘ラブソング。

Track 07. From The Start

友情を超えた限界の問いかけ|その一線を越えることは、愛の始まりなのか、それとも僕たちの終わりなのか?

「Would you still love me if we can’t come back to how we are」

長年の友人関係から一歩踏み出すことへの戸惑いを歌った全編英語詞の深夜向けラブソング。繊細なギターと徐々に高まるドラムに乗せて、「友達以上恋人未満」の複雑な感情を深情な声で歌い上げる。「もし昔の関係に戻れなくなっても、まだ愛してくれるか?」という一連の問いかけを通し、関係を壊すことを恐れる臆病さと執着を表現。友情の一線を越えることへの勇敢な賭けを描いている。

Track 08. 蟲生

デジタル世代の清明な哲学|朽ちゆく肉体を脱ぎ捨て、光ファイバーの中で無念の転生

「この現実は冷酷で不完全だ、僕が編む網は幸せよりも永遠だ」

作詞家・黃俊郎との共作で、呂尚霖も作曲に参加した最も実験的でサイバーパンクな楽曲。仏教哲学とデジタル世界のコードを融合させ、残酷な現実から逃避しデジタルのユートピアで「虫」として生きる若者の孤独を描く。サイケデリックな電子サンプリングと密集したビートに、「人類、頑張れ、蠕動…」といった洗脳的な囁きが重なり、不気味な終末の狂騒感を生み出した。テクノロジーの麻酔で自由を得たように見えて、実は終わりのない寂しさが蔓延している現代の悲鳴を表現している。

Track 09. 去年下的那場雪

冬の日の100点満点の唯一の愛|惜しみない心温まる真情、雪の中に愛を届けて凍りついた恋愛局面を溶かす

「So stay with me 誰が君の心を氷のように凍らせたとしても」

80年代のCity Popテイストを取り入れたロマンチックなラブソング。過去の失恋で凍てついた心を、厳しい冬を払う暖かい太陽のように溶かしたいと優しく語りかける。傷ついた相手の過去を否定せず、平易で具体的な特別扱いで安心感を与える歌詞が秀逸。無条件の愛情と癒やしに満ちており、寒い冬の日に大切な人と聴きたくなる心温まる一曲。

Track 10. 你沒等我去的舊金山 ft. Chen Hua

未完で終わる約束|思い出に時差が生じた時、目的地には結局辿り着けない

「僕は受動的に喪失感を受け入れる あの言い出せなかったおやすみを」

陳華をフィーチャリングに迎えた、終わってしまった関係のすれ違いを描くデュエット曲。送信を取り消したメッセージや、一緒に行くはずだったサンフランシスコへの未練など、実現できなかった後悔に正面から向き合う。深夜に交差する2人のボーカルが「もし君が待っていてくれたら」という仮定を繰り返し、辿り着けない街への癒えない思いを優しく包み込む。

Track 11. Whatever U Want ft. Max Aidan

夏の夜風の極上の溺愛|海辺へ向かう専用の助手席 君が心の赴くままに楽しむロマンスを約束する

「シャッターボタンを押した永遠 I wanna be wherever you are.」

Max Aidanとのコラボによる、夏のドライブに最適な爽快Chill Pop。Mallorcaの海岸線や助手席の魅力的な横顔など、開放的な情景を軽快なR&Bグルーヴに乗せて歌う。「君が望むなら何でもあげる」という無制限の愛情と極上の溺愛を海風に揉み込み、複雑な駆け引きのない純粋な夏のロマンスを描き出している。

Track 12. PAUSE

夢から覚めた後のスマートな損切り|関係の一時停止ボタンを押す 解体したくない愛情の不発弾

「暗雲に覆われた心は、君がいなくなれば晴れ渡り始める」

失恋と裏切りから立ち直るプロセスを流麗なR&Bリズムで描いた痛快なナンバー。「愛情の不発弾は彼に解体させよう」と歌い、真心を間違った相手に捧げてしまった関係に自ら一時停止ボタンを押す。悲しみに浸るのではなく、きっぱりとした損切りで自分を解放する清々しさと決断力が光る一曲。

Track 13. 左轉燈(1000 Times+1)ft. mac ova seas

最も感覚的な思慕のシグナル|ネオンの海が点灯する時 君の座標だけがはっきりと見える

「1000回間違えたら もう1回間違えよう」

HIPHOPレーベル・DIGI GHETTOのmac ova seasとのクロスオーバー作品。冷却期間にある関係をテーマに、理性を保とうとしながらも相手を求めてしまう葛藤を描いている。2000年代のクラシックな編曲にPatrick Brascaのポップなメロディとmac ova seasのリラックスしたラップが融合。男らしい率直さとハードコアなロマンを兼ね備えたZ世代のリアルな恋愛ソング。

Track 14. Don’t Give Up!

原点回帰の誠実な自分への約束|星の光に沿って、夢に沿って、3番出口で初心と再会する

「小さな男の子は背伸びをした。当時届かなかった夢は蝶へと変わった」

かつての自分と夢を追うすべての人へ贈る応援歌。アコースティックギターのシンプルな弾き語りから徐々に力強さを増し、「So darling, don’t give up」と確固たる約束を歌い上げる。ストリートの少年から一歩ずつ歩みを進め、現在のステージに立つまでの軌跡を飾らない言葉で綴った。音楽への純粋な情熱を証明すると同時に、迷いや涙を乗り越えて夢を追い続ける勇気を与えてくれる心温まる一曲。

Track 15. Way Back Home

終点がすなわち起点となる魂の錨|星明かりの導きを見上げ、暗夜の中に帰り道を見つけ出す

「Finding my way back home 暗闇の中で、星空を見上げるのを忘れないで」

アルバムを締めくくる壮大なナンバー。大人になる過程での戸惑いと孤独を抱えながらも、初心をコンパスにして未来へ進む決意を歌う。少年が翼を生やす前に高みへ登ろうと渇望する執念を、力強く漸進する叫びで表現。「帰るべき場所」を探す孤独感を星空の下の静かな力へと変換し、どんな困難な時でも星明かりを仰ぎ見れば無限の未来が広がっていると力強く示している。

交際宣言と「去年下的那場雪」は誰のための歌なのか騒動

新アルバムの音楽性が高く評価される一方で、彼のプライベートに関するニュースもメディアを賑わせた。

「BAD IDEA」のリスニングパーティーにて、Patrick Brascaはチアリーディングチーム「Fubon Angels」のメンバーである禾羽との交際を公表。2人はすでに約3ヶ月間交際していることを明かした。さらに「アルバムの中の1曲は彼女に捧げた曲」と発言し、話題を集めた。

しかしこの発言に対し、元恋人であるAlly(黃琳媛)がThreads上で反応。彼女は、アルバムに収録されている「去年下的那場雪」は、交際当時に自身に向けて書かれた曲であると主張し、ネット上で現彼女への曲だと誤解されていることに異議を唱えた。さらに、交際中の金銭感覚や態度など、過去の不満も暴露する事態に発展した。

この騒動を受け、Patrick BrascaはSNSで「穿上你的愛」をシェア。「昨年の雪は昨年に置いておいて、この夏恋に落ちたらこの曲を聴いて」と投稿し、現在の彼女・禾羽に向けて書いたのは「去年下的那場雪」ではなく「穿上你的愛」であることを間接的に表明した。

所属レーベルのJVR Musicも、「アルバム内で他者に向けて書かれた曲は『穿上你的愛』のみである」と公式に声明を出し、虚偽の記述に対しては法的措置も辞さない姿勢を示している。

「誰かが君の失敗を見たがっていることもある」

騒動の渦中であった8月1日夜、Patrick Brascaはプロモーションイベントに予定通り出席。現場には100名以上のファンが駆けつけ、熱烈な声援を送った。

ステージの終盤、彼は自身の口から「ネット上のニュースは皆さんもご存知だと思いますが、僕は音楽に集中したい。支持してくれる人がいる限り、立ち止まることなく創作を続けます」と現在の心境を率直に語った。

さらに、自身の経験を踏まえて「世の中には、君の失敗を見たがる人もいる。でも、仕事や生活、夢を追いかける中で、外の声に揺らいではいけない。一番大切なのは、自分が本当に熱中できることをやり通すことだ」とファンへ力強いメッセージを送った。

ノイズを跳ね除け、音楽への情熱を改めて証明したPatrick Brasca。10月10日には臺北流行音樂中心での単独コンサートも控えている。