世界的ヒット「See tình」のHoàng Thùy Linhが新曲「Thầy dùi」でカムバック!

公開日 2026年10月19日 最終更新日 2026年10月19日

(c) Hoàng Thùy Linh / Facebook

TikTokを中心に日本を含む世界中でダンスカバーブームを巻き起こした「See tình」で知られるV-POPのトップアーティスト、Hoàng Thùy Linhが、新曲「Thầy dùi」のMVを公開し、待望のカムバックを果たした。約3年ぶりの新たな音楽チャプターの幕開けとなる本作は、ベトナムの伝統的な民間伝承やことわざを題材に、現代社会におけるSNSでの誹謗中傷や嫉妬を皮肉たっぷりに描いた意欲作。公開からわずか2日でYouTubeのトレンドトップ10入りを果たすなど、熱い視線が注がれている。

伝統文化と言葉遊びを視覚化した圧倒的なMVの世界観

タイトルの「Thầy dùi」とは、ベトナムの民間伝承に登場する「他人の仲を裂いたり、そそのかしたりして利益を得る者(=おせっかいな扇動者)」を意味する風刺的な言葉。MVの映像美は圧巻で、人間の強欲さや嫉妬が生み出す混沌とした架空の世界を見事に構築している。

特筆すべきは、「他人の車輪に棒を突っ込む(邪魔をする)」「橋を渡ってから板を抜く(恩知らず)」といったベトナムのことわざが、ユーモアを交えた視覚的なシチュエーションとして見事に表現されている点だ。また、親交の深いトップラッパーのĐen Vâuも自身のSNSで「MVをシェアし、ファンを大いに沸かせた。

音楽面での挑戦と、浮上した「AI使用」などの議論

本作のプロデュースは、著名プロデューサーのKhắc Hưngが手掛けた。ベトナムの伝統音楽であるチャウバン(Chầu văn)の太鼓のリズムと現代のEDMを融合させ、鳥の鳴き声や日常の環境音をサンプリングするなど、非常に緻密で実験的なサウンドに仕上がっている。音楽監督のHuy Tuấnも、「彼女独自の音楽的美学が確立されている」と、その芸術性を高く評価している。

一方で、意欲作ゆえの議論も巻き起こっている。情報量の多いアレンジや怒涛のテンポに対し、一部のリスナーからは「以前のヒット曲のようなキャッチーさに欠ける」という厳しい声も上がっている。さらに、MVのエンディングクレジットに「AI部門」が明記されたことで、映像制作におけるAI活用の是非が問われたり、一部の衣装がスイス人デザイナーのOmar Amorの作品に酷似していると指摘されたり(スタイリストのHoàng Kuは事実確認中と発表)、様々な角度から議論を集めている。

自らが打ち立てた「キャッチーな大ヒット曲」という高いハードルに対し、あえて実験的でメッセージ性の強い「Thầy dùi」をカムバック曲に選んだことは、彼女のアーティストとしての大きな挑戦であると言える。表面的なバズや再生回数にとらわれず、自身の持つ文化的な表現をさらに深く追求しようとするHoàng Thùy Linhの次なる展開から、今後も目が離せない。