Lauren Dyogi氏が明かす、BINIコーチェラ出演の裏側

公開日 2026年4月28日 最終更新日 2026年4月28日

(c) BINI / Facebook

フィリピンのガールズグループ「BINI」が、世界最高峰の音楽フェスティバル「コーチェラ」で、フィリピン人グループとして初となる歴史的なパフォーマンスを披露した舞台裏を、所属事務所Star Magicのディレクター Lauren Dyogi氏が明かし、大きな注目を集めている。

コーチェラ効果

Dyogi氏は自身のTikTok動画を通じて、コーチェラでのキャリアを決定づけるパフォーマンスが大きな関心を集めていることを明かした。すでに将来のコラボレーションやパートナーシップ、パフォーマンスに関する具体的な問い合わせやオファーが海外から多数寄せられているとのこと。

10ヶ月に及ぶ極秘プロジェクトと、迫り来る「現実」

実は、コーチェラからの招待が届いたのは2025年7月のこと。しかし、厳しい守秘義務のため、メンバーに知らされることなく、マネジメント層は大きな期待と重圧を数ヶ月間密かに抱え続けていた。

いざ準備が始まると、現実は厳しいものだった。放送局ABS-CBNの閉鎖危機という経営難の影響を受け、今回のプロジェクトはワールドツアー時とは比較にならないほどの「超低予算」。

航空券はフィリピン航空のスポンサー支援を受け、TFCを通じた現地からのサポートを得ることで、ようやく形になったのだ。

Airbnbでの共同生活と、役割を超えたチームの奮闘

予算削減のため、チームは華やかなホテルではなくAirbnbでの共同生活を選んだ。部屋はシェアし、一部のダンサーはソファで眠るという過酷な環境。さらに、驚くべきことにパフォーマンスコーチのMikey氏が滞在期間中の全送迎を担当するドライバーを務めた。

このような状況下でも、BINIのメンバーたちは文句一つ言わず、自ら荷物を運び、食事を作り、皿洗いや掃除などの家事をこなした。Dyogi氏は、会社の財務的な課題を理解し、不満一つ漏らさず、厳しい環境を進んで受け入れたメンバーたちのチームワークと謙虚さに深い敬意を表した。

襲いかかる体調不良

砂漠地帯特有の激しい寒暖差や砂埃は、アーティストにとって最も過酷な敵となった。

実際にメンバーやスタッフの多くが体調を崩し、一部の幹部やコーチ陣はインフルエンザを発症。さらに、砂埃はメンバーの喉を痛めつけ、精神的にも肉体的にも追い詰められた。

特にGwenは、第1週目の公演前日に治療を受けるほどの事態に陥った。

本番直前まで「Besties」のビザ発給が間に合うか不透明な状況が続き、現地ではサウンドチェックもステージリハーサルも一切できないという「盲目状態」での本番。わずか30分の準備時間で、彼女たちは歴史的なステージに飛び込んでいった。

フィリピン人コミュニティの絆

この絶体絶命の状況を救ったのは、フィリピン人同士が助け合う精神「バヤニハン(Bayanihan)」だった。フィリピン人アーティストとして前例のない挑戦に、在米フィリピン人コミュニティに助けを求めた。これに応えたのが、フィリピン系エグゼクティブのHenry氏率いる制作チーム「See You Later」だ。

現地のテクニカルなサポートを一手に引き受け、フィリピン音楽を世界へ届けるという共通の目標のために、国境を超えたプロフェッショナルたちが結集した。

フィリピン、そして「夢」を背負って

プレッシャーや不安を跳ね除け、彼女たちがステージを成功に導いた最大の理由は、「純粋にパフォーマンスを楽しんだこと」。

パフォーマンス前夜、チームで涙を流しながら「コーチェラのステージに立つ意義」について語り合ったという。

そこで彼女たちは、自分たちのためだけではなく、フィリピンという国、会社、ファン(Blooms)、家族、そして自分たちの「夢」を背負っていることを深く理解した。

危機を乗り越えた先の祝福

フィリピン人グループ初のコーチェラ出演という快挙は、つまり「従うべき手本がない」ことを意味する。

Dyogi氏自身も、衣装のトラブルから技術的な問題まで、あらゆる不安を想定し、大きなプレッシャーとストレスを感じていたと告白。

さらに彼は、現在の状況をBINIのデビュー予定年だった2020年の困難と重ね合わせた。

「2020年にBINIをデビューさせる予定でしたが、新型コロナウイルスの世界的な流行とABS-CBNの放送停止という事態が重なり、叶いませんでした。そして今、中東での戦争という世界的危機と、再び直面する会社の課題があります。以前と同じことが起きているようですが、これは将来大きなことが起こる良い兆候でもあると考えています。」

「多くの打撃を受けるとき、同時に多くの祝福も受け取る」と語る彼は、今回のコーチェラでの経験が、BINIだけでなくABS-CBNにとっても「最大の祝福」の一つであると強調。

世界中の観客から受けた声援を糧に、彼女たちが今後さらに巨大なステージを制覇していくことを、Dyogi氏は強く確信している。