日本のコンテンツビジネスは何を学ぶべきか?『韓国ドラマ全史 なぜ世界的ヒットを連発できるのか?』が発売

公開日 2025年3月23日 最終更新日 2025年3月23日

株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン(本社:東京都千代田区、代表取締役兼社長執行役員:谷口奈緒美)は2025年3月22日に『韓国ドラマ全史 なぜ世界的ヒットを連発できるのか?』(黄仙惠著)を刊行しました。


本書は、過去25年間にわたる韓国ドラマの発展の軌跡を追い、「冬のソナタ」から「イカゲーム」まで、なぜ世界的ヒット作を次々と生み出せるのかを分析しています。1997年の通貨危機を転機に構造改革を遂げた韓国コンテンツ産業の挑戦と試行錯誤から、日本のコンテンツビジネスが学ぶべき教訓を明らかにします。

■1997年の通貨危機が生んだ文化産業の躍進

韓国のコンテンツ発展の大きな転換点となったのは、1997年の通貨危機とIMF救済です。この危機を受けて就任した金大中大統領は、文化産業を21世紀の基幹産業と位置付け、知識情報社会への移行とIT産業の育成を推進しました。

この時期、韓国ドラマは従来の華やかなトレンディドラマから、家族愛や絆を描くIMF型ドラマへと変化。これが後の「韓国ドラマらしさ」を形成する要因となりました。同時に、海外展開も本格化し、中国やベトナム、台湾などアジア市場で高い文化的近接性を活かして人気を獲得していきました。

■韓国型スタジオシステムの誕生と発展

韓国のコンテンツ産業は、IMF危機を契機に大きな構造改革を迫られました。制作会社は権利ビジネスの重要性に目覚め、IPの確保や海外展開に注力するようになります。特に『冬のソナタ』を手掛けたPANエンターテインメントは、海外権利の保有にこだわり、大きな収益を上げることに成功しました。


近年では、Netflixなどのグローバルプラットフォームの台頭により、制作会社の立場が強化されています。従来の放送局主導の制作から、制作会社が企画・開発から権利管理まで一貫して手掛ける「スタジオシステム」への移行が進み、若手クリエイターの育成や共同執筆システムの導入など、新たな試みも活発化しています。


韓国コンテンツの成功は単なる「国策」によるものではなく、IMF危機という苦境から生まれた構造改革と、それを支えた人材育成の成果といえるのです。

■こんな方におすすめです

  • 韓国ドラマやK-POPなど韓流コンテンツのファンの方
  • コンテンツビジネスやエンターテインメント産業に携わる方
  • 海外コンテンツビジネスの動向に関心がある方
  • 日本のコンテンツ産業の発展に関心がある方 

◎書籍概要

【目次】

第1章 韓流の原動力と国際通貨基金(IMF)

第2章 危機をチャンスへ——韓国ドラマの躍進

第3章 テレビ局とドラマ制作会社の住み分け

第4章 オリジナルストーリーを描く、脚本家の奮闘

第5章 韓国型スタジオシステムとドラマビジネス

第6章 韓国ドラマの未来像と人材育成

第7章 次に来る韓流は何か?

第8章 インタビュー 日韓協業の可能性

【著者情報】

黄仙惠(ファン・ソンヘ)

1974年、韓国・大邱生まれ。1997年から韓国放送公社(KBS)で情報番組を制作し、2002年に来日。2005年からソニーネットワークコミュニケーションズでCSチャンネル編成・制作・購入などの日韓コンテンツビジネスを担当するほか、メディア研究にも取り組み2006年に一橋大学大学院社会学研究科で修士取得、2019年に慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科で博士取得。2018年には韓国コンテンツ振興院日本ビジネスセンターのセンター長に就任し日韓協業の支援に寄与するなど、日韓コンテンツビジネスに現場・研究の両面から携わり続けている。2022年から城西国際大学メディア学部および大学院ビジネスデザイン研究科で教員としてコンテンツビジネス、ビジネスモデルデザインなどを教えている。主な著書は、『韓国コンテンツのグローバル戦略』(星海社)、『日韓関係のあるべき姿』(明石書店)など。

【書籍情報】

タイトル:『韓国ドラマ全史 なぜ世界的ヒットを連発できるのか?』

発売日:2025年3月22日(オンラインストア3月21日先行発売)

刊行:ディスカヴァー・トゥエンティワン

仕様:新書/352ページ

ISBN:9784799331323