公開日 2026年1月31日 最終更新日 2026年1月31日

「Monster of P-POP」グループとして存在感を放つ5人組、VXON。彼らがリリースしたセカンドアルバム「Pasakalye」は、グループが試行錯誤の時期を脱し、ついに自分たちだけの表現スタイルを確立したことを告げる記念碑的な一作となった。
タイトルの「Pasakalye」は、フィリピン語で「序奏」や「導入」を意味するが、アルバムに詰め込まれた音像は、もはや導入の域を遥かに超え、本作で彼らは、自分たちのアイデンティティを模索する段階から、自然なリズムの中で自信を持って音楽を謳歌する段階へと見事にステップアップを果たした。
アルバム全体を貫いているのは、驚くほどの一貫性と洗練されたプロダクションだ。VXONの最大の武器である「鋭く情熱的なラップ」と「スムーズで中毒性の高いボーカル」が絶妙なバランスで共存しており、リスナーを圧倒しすぎることなく、心地よいグルーヴに浸らせてくれます。特に、音の空間を贅沢に使うことでサビを際立たせる手法は、彼らの音楽的成熟を感じさせる。
アルバムの核となる「pelikula」は、まさにタイトルの通り「映画」のような日常を切り取った楽曲だ。フィリピンの街角に漂う「Kalye」特有の泥臭いリズムと、どこか懐かしさを感じさせるメロディが融合し、深夜のドライブや静かな夜にぴったりのサウンドに仕上がっている。この曲は、誰もが心のどこかに持っているノスタルジーを刺激し、思わずボリュームを上げて聴き入りたくなるような不思議な魅力に満ちている。
「sikretong malupet」や「taguan (tayo L lang)」といった新曲がアルバムに新たなテクスチャーを加える一方で、これまでにリリースされファンの間で愛されてきた楽曲たちが、作品に深みを与えている。
例えば、夏にぴったりの「Sh*t Sobrang Init」は、男女の親密な時間を夏の猛暑になぞらえた情熱的なR&Bで、ヒップホップの要素を交えた艶やかなサウンドが耳に残る。一方、フィリピンの伝承を歌詞に盛り込んだ「Tabi Tabi」では、不誠実な人々への批判をポップロックの軽快なリズムに乗せて表現するという、彼ららしい知的なアプローチが見られる。
さらに、カフェ店員に扮したメンバーの姿が話題となった「Dapat Lang Ako Lang」では、これまでのクールなイメージとは一線を画す明るくキャッチーな一面を見せ、表現の幅が大きく広がったことを証明した。
「僕たちの物語はまだ始まったばかり」という「Pelikula」の歌詞は、今のVXONの勢いを象徴している。アルバムで示した自信とカリスマ性は、2月28日にSM North EDSA Skydomeで開催される初のソロコンサート「Kalawakan」で、より大きな熱狂となって爆発することだろう。
「Pasakalye」は単なる曲の集まりではなく、VXONというグループの「今」を凝縮した、一つの完成された物語となっている。より広い世界へと羽ばたく彼らの音楽に、今こそ耳を傾けるべき時が来ている。